「GX(グリーントランスフォーメーション)」という言葉が企業経営にとってますます重要になっている中、東京都が新たに打ち出したのが「グローバルサウスのGX促進プロジェクト」です。この事業は、GX関連の技術やビジネスモデルを海外に展開しながら、都内中堅・中小企業の成長と脱炭素化の両立を目指す極めて戦略的な支援策です。
本記事では、この補助事業の概要、補助対象、補助率や上限額、申請要件、審査のポイントなどを分かりやすく解説し、中小企業やスタートアップ、経営支援者の皆様にとって有益な情報をお届けします。
プロジェクトの目的 ― GXと海外展開の“両立”を支援
グローバルサウスとは、アジア・アフリカ・中南米などの新興国を指す言葉です。このプロジェクトでは、東京都内の企業が持つGX関連技術やビジネスモデルを、これらの地域に展開することを通じて、現地の脱炭素化ニーズに応えるとともに、都内企業自身の成長と、東京都のさらなるGX推進を実現することが目標です。
つまり、「海外貢献×自社成長×東京都の脱炭素目標への貢献」を同時に達成しようという、非常に野心的かつ実効的な取り組みです。
事業内容の概要 ― スキームと補助内容を詳しく解説
このプロジェクトの魅力は、単なる資金支援だけでなく、以下のような多角的な支援体制が組まれている点にあります。
支援の構造とステークホルダー
- 東京都環境公社が事業の全体統括
- 連携サポーター(専門家・民間支援機関等)が伴走支援
補助の仕組み
- フェーズ1:マスタープラン作成・フィージビリティスタディ(FS)
- フェーズ2:実証・事業化
この2段階で、最大3億円の補助が受けられる制度設計です。特に、FSから実証、事業化までを一貫して支援する点が、他の制度と大きく異なります。
補助率・補助上限額
フェーズ | 対象 | 補助率 | 上限額 |
---|---|---|---|
マスタープラン・FS | 中小企業・スタートアップ | 2/3 | 1億円 |
実証・事業化 | 全企業 | 1/2 | 最大3億円(FS費用除く) |
※中堅企業のFS補助率は1/2です。
申請要件 ― 都内中小企業にとって実現可能な条件設定
補助対象となる企業は、以下の条件を満たす必要があります。
- 東京都内に本店または支店があり、実質的に事業を営んでいる法人または個人事業者
- 東京都内を納税地とすること(都税納税証明書が必要)
- 中堅企業・中小企業またはスタートアップ
- 海外でGX技術・製品・サービスを展開できる能力を有すること
共同申請も可能であり、代表申請者が中小企業であれば、大企業と連携しても補助率は2/3と有利になります。
また、GX事業であること、グローバルサウス諸国の脱炭素ニーズに応える内容であること、事業化可能性があることなどが求められます。
補助対象経費 ― 実証や調査にかかる費用が幅広くカバーされる
補助対象となる経費は以下のように広範囲です。多くの中小企業にとって、実際の海外展開のネックとなる費用の大部分がカバーされるため、非常に有利です。
- 直接人件費(FSや現地展開に関与する社員・役員)
- 委託・外注費(専門調査、翻訳など)
- 設備費(実証機器、ソーラー設備等)
- 備品費・原材料費・副資材費
- 印刷・会議・謝金・旅費
- 消耗品費・借料・損料
- 翻訳・通訳などのその他諸経費
なお、不動産取得費や投資活動費、消費税などは補助対象外ですので注意が必要です。
応募の手続き ― 提出方法とスケジュール

2025年度の募集スケジュールは以下の通りです。
- 募集開始:2025年7月14日(月)
- 募集締切:2025年8月15日(金)正午必着
- 一次審査(書類):8月下旬
- 二次審査(面接):9月上旬
- 採択通知・事業開始:9月中旬以降
申請書類は、電子メールおよび郵送により提出します。提出先や記載内容には注意が必要ですが、事務局からの問い合わせ対応もあり、不明点は事前に確認できます。
審査方法と評価ポイント ― 実現性・有望性・波及効果が鍵
審査は以下の2段階で実施されます。
- 書類審査(一次)
- 面接審査(二次)
主な評価基準は次の通りです:
- 事業戦略と整合性があるか
- 計画の具体性と妥当性
- 現地市場でのニーズ・受容性
- リスク対応の体制と現地安全管理
- 脱炭素化への貢献度
- 東京都への経済的波及効果とGX裨益性
このように、事業としての完成度だけでなく、「社会的意義」や「脱炭素インパクト」が高い案件が選ばれる可能性が高いと言えます。
まとめ:中小企業のGX海外展開を本格支援!今すぐ準備を
グローバルサウスのGX促進プロジェクトは、単なる補助金ではなく、海外展開の伴走支援と脱炭素技術の国際展開を後押しする東京都の本気度を体現した制度です。
中小企業にとっては「海外市場にチャレンジする千載一遇のチャンス」であり、経営資源が限られていても、事務局や連携サポーターといった支援体制を活用しながら、現実的な展開が可能です。
「脱炭素」と「グローバル進出」の両方を狙いたい企業にとっては、まさにこの補助金が“突破口”になるはずです。
申請を検討する方は募集要項をご確認の上、ご不明な点は事務局や専門家へご確認下さい。