東京都「カスタマーハラスメント防止対策推進支援事業」を徹底解説|企業・団体向け奨励金と無料支援を活用して従業員を守る

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2025年6月、東京都は新たな取り組みとして「カスタマーハラスメント防止対策推進支援事業」をスタートしました。
中小企業や団体にとって、従業員を守りながら顧客と適切な関係性を築くための支援が、本格的に始まります。

この記事では、企業・団体別に用意された奨励金(定額支給)の概要をはじめ、無料で受けられるセミナー・コンサルティング支援や、都の啓発活動まで、現時点で明らかになっている内容をわかりやすく整理してお伝えします。


なぜ今「カスタマーハラスメント対策」が求められているのか?

カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)とは、顧客や取引先からの過度なクレーム・暴言・脅迫的な言動など、従業員の尊厳を傷つける行為を指します。

従来は「お客様は神様」の意識のもと、顧客の要求に応じることが美徳とされてきました。しかし昨今、そうした過剰対応が現場のストレスや離職を招いている実態が社会問題として顕在化しています。

東京都はこの状況を受け、2024年に全国初となる「東京都カスタマーハラスメント防止条例」を制定。企業に対し、カスハラから従業員を守る努力を求める姿勢を明確にしました。https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00005328.html

その具体的な施策として、2025年6月に始まったのが、「カスタマーハラスメント防止対策推進支援事業」です。


【企業向け】40万円の奨励金で現場対応を強化

都内の中小企業等がカスハラ防止に向けた具体的な取組を行う際、その費用の一部を支援するのが、奨励金です。一定の補助率による補助ではなく、定額支給が特徴です。

 支給額

  • 40万円(定額支給)
  • 申請内容や対策内容に応じて金額が決定

 対象事業者

  • 都内に本店または主たる事業所を持つ中小企業・個人事業主
  • カスハラ防止に関する具体的取組を行うこと

 対象となる取組例

  • カスハラ対応マニュアルの策定・改訂
  • 録音・録画環境の整備
  • AIを活用したシステム等の導入
  • 外部人材の活用

 ポイント

  • 対象経費の一定割合を助成するのではなく、都が定めた基準に沿って固定額を支給する方式です。
  • 申請内容・取り組み内容に応じて、最大40万円まで支給されます。
  • 募集要項等の詳細は2025年6月30日に発表予定です。

【団体向け】最大100万円の奨励金で業界全体の取組を支援

企業単独では対応が難しい場合もあります。そうした背景を踏まえ、業界団体や商工会等に対しても、奨励金が用意されています。

 支給額

  • 最大100万円(定額支給)

 対象団体

  • 都内業界団体等(都内を活動範囲とし、都内に住所または主たる事務所があること)

 対象となる取組例

  • 会員企業等へ向けたカスハラ基本方針の策定・周知(20万円)
  • 会員企業等の防止対策をサポートする相談窓口の設置(40万円)
  • カスハラ防止対策に関する研修の実施 (20万円)
  • カスハラ防止対策に資する外部人材等の活用(20万円)

 ポイント

  • 業界全体でカスハラに立ち向かう体制を構築することが目的
  • 組織単体では対応しきれない課題への集団的アプローチを支援
  • 募集要項等の詳細は2025年6月30日に発表予定です。

無料で受講できる!セミナー・コンサルティング支援の充実

この事業では、金銭的支援に加えて、企業が実際にカスハラ対応を進めるための「人材支援」も用意されています。

 カスハラ対応セミナー(無料)

  • 都内の企業・団体に広く開かれたセミナー
  • 基礎知識から実務対応まで網羅
  • オンラインライブ配信
  • 経営者・店長・管理職向けに特化した内容
  • 第1回は7月31日を予定(6月30日募集開始)

 専門家による個別コンサルティング(無料)

  • 中小企業診断士、社会保険労務士、心理カウンセラー等が対応
  • 自社の現状分析 → 対応フロー設計 → 社内体制構築まで支援
  • 社内研修用スライド資料・マニュアルの作成支援も可
  • 6月30日に募集開始予定

これらは全て無料で提供されるため、「予算がない」「専門知識がない」といった不安を抱える中小企業でも、安心して取り組むことができます。


東京都全体で進む「普及啓発」活動:社会の空気を変える仕組みづくり

個別の企業や団体の取組と並行して、東京都では都民全体への普及啓発キャンペーンも展開されています。

 主な取組

  • カスハラ防止ポスターの配布・店舗掲出の推奨
  • 啓発用動画の制作とYouTube等での配信
  • 駅構内・バス車内・公共施設での広告掲出
  • SNSやWebサイトでの特設ページ開設・情報発信
  • 地域イベントや学校での出張講座・ワークショップ

こうした活動により、「カスハラは社会的に許容されない行為である」という共通認識を広げ、企業単体の努力を社会全体で支える土壌を形成しています。


中小企業がこの制度を活用すべき理由

中小企業にとって、従業員の安心・安全は経営の基盤です。
採用難・人手不足が深刻化するなか、従業員が長く安心して働ける環境づくりは、企業価値の向上にもつながります。

 この制度を活用するメリット

  • 従業員満足度・定着率の向上
  • 職場内コミュニケーションの改善
  • 採用活動における企業イメージの向上
  • トラブル発生時の対応力強化
  • 人権尊重・人的資本経営としてのSDGs対応

カスハラを放置していると、最悪の場合、SNS炎上や労災・損害賠償といったリスクにもつながりかねません。制度を活用して、攻めと守りの両方から企業経営を強化しましょう。


まとめ:今すぐ準備を!東京都の支援制度で従業員を守る経営へ

東京都の「カスタマーハラスメント防止対策推進支援事業」は、以下のような総合的な支援メニューで構成されています:

 支援内容のまとめ

区分内容上限額支給方式
企業向け奨励金40万円定額支給
団体向け奨励金100万円定額支給
その他無料セミナー・コンサルティング完全無料専門家による直接支援

各制度は2025年6月30日から申請受付開始予定となっています。


 まずはここから確認を!

👉 東京都公式発表:カスタマーハラスメント防止対策推進支援事業(2025年6月27日)

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