【2025年度版】中小企業の新規事業を力強く後押し!「中小企業新事業進出促進補助金」とは?

補助金・助成金

中小企業が持続的に成長していくためには、新たな市場への挑戦が不可欠です。
とはいえ、事業を転換・拡大するには、資金・人材・時間と多くのリソースが必要となります。

そこで注目されているのが「中小企業新事業進出促進補助金」です。
この補助金は、中小企業の“攻めの経営”を支援する新たな国の制度で、2025年(令和7年)からスタートしました。https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/

本記事では、中小企業診断士の視点から、この補助金の概要、背景、採択されるためのポイント、申請前に確認すべきことまでを徹底解説します。

なお、2025年度のスケジュールは以下の予定です。

スケジュール|中小企業新事業進出補助金|中小企業基盤整備機構
  • 申請受付開始:令和7年6月頃(予定)
  • 公募締め切り:令和7年7月10日(木)18:00まで

 補助金の概要

 対象

補助金の対象となるのは、国内に本社および補助事業実施場所を持つ中小企業者や組合などです。
業種ごとに資本金や従業員数の上限が定められており、詳細は公募要領に記載されています。https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_koubo.pdf

また、本補助金では、既存事業とは異なる「新たな事業」に取り組むことが要件です。
ここで言う“新事業”とは、単なる新商品や新店舗ではなく、製品やサービスに新規性があり、かつ新たな市場を開拓するものを指します。

https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_shishin.pdf

 補助額

従業員数補助金上限額賃上げ特例適用時の上限額
20人以下2,500万円3,000万円
21~50人4,000万円5,000万円
51~100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円

 補助率

  • 原則 1/2

 対象経費

  • 機械装置費、建物費、広告宣伝費、クラウドサービス利用料、専門家経費、知財関連費など幅広くカバー

 制度創設の背景

この補助金は、中小企業の以下のような経営課題を解決するために創設されました。

  • 既存事業の競争力が低下し、新たな成長分野に転換する必要がある
  • 地域経済を支える中小企業に、付加価値向上と賃上げを求める政策的要請
  • 人口減少や高齢化に対応するための事業再設計の必要性

特に注目すべきは、「補助金をもらって終わり」ではなく、“補助後も持続的に事業を成長させ、従業員の賃上げにもつなげること”が強く求められている点です。

 採択されるためのコツ

補助金の審査は非常にシビアであり、補助金目当ての安易な申請では採択されないことが多いのが実情です。
ここでは、採択されるための実践的なポイントを詳しく解説します。

 新事業の「新規性」を明確に示す

  • 製品やサービスが“自社にとって新しい”ものであること
  • 対象とする市場・顧客層が、既存とは異なること

これらを、数値や既存事業との比較、調査データを使って明確に示しましょう。

 定量的な目標を示す

  • 売上構成に占める新事業の比率が、3~5年後に10%以上(または付加価値で15%以上)となること
  • 付加価値額の年平均成長率が4%以上となること
  • 賃上げの目標値(給与支給総額や一人あたり給与支給額)を具体的に設定すること

定量目標を設定することで、計画の説得力が一気に高まります。

 “本気度”を見せる

  • 経営者のリーダーシップが見える事業計画
  • 全社的な体制・組織・人材の見直しまで踏み込んだ改革
  • 社内での共有や合意形成がなされていること

単なる思いつきや、外注依存の計画は見抜かれてしまいます。「自社がどう取り組み、どんなリスクを取るのか」を明確にしましょう。

 認定支援機関との連携

事業計画の精度を上げるためにも、認定支援機関(税理士、中小企業診断士など)の意見を取り入れることは重要です。ただし、申請書の作成は必ず自社で行う必要があります。

 申請前に確認すべきこと【重要チェックリスト】

申請にあたっては、書類や事務手続きの準備も重要です。以下のポイントを押さえておきましょう。

  GビズIDプライムの取得

  • 申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。
  • 取得に1週間以上かかるため、早めに手続きを。

👉 GビズID 公式サイト

  一般事業主行動計画の公表

  • ワークライフバランス要件として、「一般事業主行動計画」の策定と厚労省「両立支援のひろば」への表が必要です。

👉 両立支援のひろば

  直近の決算書の用意

  • 少なくとも1期分の決算書が必要です。創業間もない企業は申請不可。

  同時期の他補助金との重複に注意

  • 「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」などと同時に交付を受けることは不可です。併願はできますが、どれか1つしか受け取れません。

  賃上げに関する社内周知

  • 賃上げ要件を達成するには、従業員全員または代表者に目標値を周知・表明する必要があります。

  補助事業終了後の報告義務

  • 事業終了後も5年間にわたり、業績報告や目標の達成状況の報告義務が生じます。中長期での責任が伴う点に注意。

まとめ:成長の起爆剤として補助金を活用しよう

「中小企業新事業進出促進補助金」は、単なる資金援助ではありません。
事業の未来像を描き、実現に向けて具体的な行動に移す覚悟がある事業者にこそ、力強い追い風となる制度です。

経営環境が不透明な今こそ、自社の強みを再定義し、新たなマーケットへ飛び込む絶好のタイミングではないでしょうか?

もし事業計画に不安がある方は、中小企業診断士や商工会・認定支援機関のサポートを受けることをおすすめします。

また、申請を検討される際には、必ず募集要項で本助成金の申請条件や対象経費等を改めてご確認頂き、ご不明な点は事務局へお問い合わせ下さい。https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_koubo.pdf

事業の未来は、今日の意思決定から始まります。
この補助金を、ぜひ“攻めの経営”の第一歩としてご活用ください。

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