東京都内の中小企業が販路開拓に取り組むうえで、展示会出展は非常に効果的な手段です。ところが、出展には大きな費用がかかるため、躊躇する企業も少なくありません。そのような企業を支援するために、公益財団法人東京都中小企業振興公社では「令和7年度 展示会出展助成プラス」を実施しています。
この助成金は、展示会への出展費用やECサイト出店の初期登録料などに対して、最大150万円の助成を受けられる貴重な支援制度です。本記事では、制度の目的から助成対象、スケジュール、申請方法、さらには助成対象経費の具体例までを詳しく解説します。
事業の目的|都内中小企業の販路拡大を支援する力強い制度
本助成事業は、都内に本拠を置く中小企業が経営基盤の強化と販路の拡大に向けて積極的に展示会やECサイトを活用する取り組みを後押しすることを目的としています。コロナ禍を経て展示会やオンライン商談の重要性が高まる中、リアル・オンライン問わず積極的なPR活動を支援することで、企業の経営安定化を図り、地域経済の活性化にも寄与することが期待されています。
助成内容の詳細|助成対象者、助成額、対象事業と経費
本制度のポイントは以下のとおりです。
助成対象者
助成を受けるには、以下の要件などをすべて満たす必要があります(詳細は募集要項を必ずご確認下さい)。
- 中小企業基本法に基づく中小企業であり、都内に登記があり事業実態があること
- 都税や住民税の滞納がないこと
- 直近の決算で売上減少、損失計上、もしくは販路開拓の支援が必要と認められていること
- 経営分析を都内商工会議所等で受けていること
- 過去の助成金事業において不正行為や報告書未提出がないこと
助成額・助成率
- 上限額:150万円
- 助成率:対象経費の2/3以内(千円未満切り捨て)
助成対象事業
次のいずれか、または両方の事業に該当することが条件です。
- 展示会出展(国内・海外・オンライン)
- モール型ECサイトへの出店(初期登録費用のみ)
助成対象期間
交付決定日から1年1か月以内に実施・支払を完了した事業が対象です。
ただし、小間申込のみ期間前に行っていても構いませんが、出展と支払いは期間内に限られます。
助成対象経費
以下の経費が対象です。
- 出展小間料
- 資材費(小間装飾やパネル制作など)
- 輸送費(展示品や配布物)
- EC出店初期登録料(上限20万円)
- サイト制作・改修費(上限20万円)
- 印刷物制作費(上限50万円)
- 動画制作費(上限20万円)
- 広告掲載費(上限20万円)
※「出展小間料」または「EC出店初期登録料」のいずれか(または両方)の申請は必須条件です。
助成事業のスケジュール|チャンスは年10回!
申請は令和7年4月から令和8年1月まで、月1回の計10回募集されます。交付決定は申請月の翌々月1日付となり、出展可能な展示会の日程によって、どの回に申請すべきかを見極めることが重要です。
申請受付はJグランツ(電子申請システム)で行われ、締切はいずれも正午(12:00)です。直前になるとアクセスが集中するため、余裕を持って手続きすることが求められます。
助成対象となる展示会・ECサイトとは?

対象となる展示会やECサイトには、明確な要件があります。
展示会
- 商談を主目的とした事業者向け展示会
- 主催者が一般に募集を行っていること
- 自社名義で申込・支払・出展すること(共同出展不可)
- 展示会会場および案内図に助成事業者名が記載されていること
ECサイト
- モール型ECサイト(楽天、Amazon、Yahoo!ショッピング等)
- 初期登録費用のみが対象(構築費用、デザイン費、運用費は対象外)
- 出店時に申請者名義で直接契約し、確認可能であること
助成対象経費の詳細と注意点
対象経費
対象経費は「契約・実施・支払」すべてを助成対象期間内に行う必要があります。支払いが期間前に完了していると対象外になるため、スケジュール管理が重要です。
また、再委託(下請け業者がさらに業務を外注する場合)や、関連会社・代表者親族が経営する企業との取引に係る経費も助成対象外です。
対象外経費の例
以下の経費は助成対象外となるので要注意です。
- 懇親会費や交通費、宿泊費などの間接経費
- 他社PRに該当する印刷物や動画制作
- 消費税や印紙税などの租税公課
- コンテンツ制作のみの契約
- クレジットカードや現金で支払った経費
申請方法|完全オンラインで手続き可能
申請はJグランツのみで受け付けています。必要な準備は以下のとおりです。
- GビズIDプライムアカウントの取得(事前申請が必要)
- 公社ホームページから申請概要書(Excel)のダウンロード
- 必要書類をすべてPDFで準備し、Jグランツにアップロード
- 「展示会出展助成プラス 第○回」を選択して申請
主な提出書類の例:
- 履歴事項全部証明書
- 確定申告書一式(直近2期分)
- 納税証明書
- 経営分析報告書
- 出展案内やパンフレット(展示会の場合)
審査方法|書類審査を中心に実施
申請後は、公社により内容の確認・審査が行われます。提出書類に不備があれば追加提出が求められますが、期限を過ぎると申請は棄却されるため、注意が必要です。
審査では、出展の実効性や助成金の有効性が総合的に判断されます。また、過去に不正行為がないか、提出資料の整合性がとれているかなどもチェックされます。
総まとめ|積極的な活用で販路開拓の第一歩を
「展示会出展助成プラス」は、都内中小企業が新たな販路を切り開くうえで非常に有効な制度です。150万円の助成金が得られるだけでなく、PR活動の強化、事業内容の棚卸し、そして出展準備における社内体制の強化など、副次的な効果も期待できます。
申請にあたっては、募集要項やスケジュールをしっかりと確認し、申請書類を万全に準備することが成功の鍵です。展示会出展に迷っていた方も、この機会にぜひチャレンジしてみてください。