中小企業にとって「デジタル化」は避けて通れない経営課題です。人手不足や働き方改革、DXの加速など、経営環境は日々変化しています。しかし「導入コストが高い」「どのツールを選べばいいのかわからない」といった理由で、一歩を踏み出せない企業も少なくありません。
そこで東京都が実施するのが 「令和7年度第2回 中小企業デジタルツール導入促進支援事業」 です。本記事では、この助成金の目的から申請方法、審査のポイントまでをわかりやすく解説します。
事業目的:デジタル化で中小企業の成長を後押し
本助成金の目的はシンプルです。
「中小企業の事業活動にデジタルツールを導入し、業務の効率化や成長を後押しすること」。
具体的には、クラウドサービスやパッケージソフトといった、一般的に販売されているデジタルツールの導入を支援します。単なる給付金ではなく、導入費用の一部を助成し、導入後に後払いで交付される仕組みです。
また、採択された企業は「専門家によるフォローアップ支援」を受けることができます。デジタルツールの活用に詳しい専門家が訪問し、導入や運用のアドバイスをしてくれるため、「導入したはいいが使いこなせない」という不安も軽減されます。
助成事業の概要(対象者・事業・助成率など)
助成対象者
対象となるのは 東京都内の中小企業等(会社・個人事業主・中小企業団体) です。
逆に、大企業やNPO法人、学校法人などは対象外となります。
助成対象事業
助成対象となるのは、次の2つを満たす取組です。
- 自社の事業活動のデジタル化のために、新たにデジタルツールを導入し運用を開始すること
- 将来にわたり継続的にデジタルツールを活用し、業務の成長・発展を目指すこと
例としては、
- 財務会計・人事労務・給与計算ソフトを組み合わせ、バックオフィス業務を効率化
- RPAツールを導入して定型業務を自動化
- 社内コミュニケーションツールの導入でナレッジ共有を促進
- マーケティングオートメーションツールで営業活動を効率化
といった取り組みが挙げられています。
助成率・助成額
- 助成率:経費の2分の1以内(小規模企業者は3分の2以内)
- 助成額:最大100万円(下限は5万円)
関連経費(初期設定やカスタマイズ、保守サポートなど)は上限50万円までが助成対象です。
助成対象期間
今回の募集では以下のいずれかの期間が助成対象です。
- 令和8年1月1日~令和9年12月31日
- 令和8年2月1日~令和10年1月31日
助成事業のスケジュール
申請から助成金の支払いまでの流れは次の通りです。
- 申請受付期間:令和7年10月1日(水)~10月27日(月)
- 審査期間:令和7年10月中旬~令和8年1月中旬
- 交付決定:
- 第1回:令和7年12月末
- 第2回:令和8年1月末
- 事業実施期間:
- 第1回:令和8年1月1日~令和9年12月31日
- 第2回:令和8年2月1日~令和10年1月31日
- 事業完了後:
- 実績報告提出
- 完了検査
- 助成額の確定通知
- 助成金の請求・支払い(請求から約1か月)
「交付決定通知書」で指定された期間内に必ず事業を完了させる必要がある点に注意してください。
助成対象事業の詳細
助成対象となる事業は、業務の効率化や成長に寄与するデジタルツール導入です。
一方で、以下のような取組は助成対象外となります。
- PCやタブレットなどハード機器の購入
- OSやセキュリティソフトなど汎用ソフト
- 通信環境やテレワーク環境の整備
- 既存ツールのライセンス数追加
- スクラッチ開発(ゼロからのシステム開発)
- ホームページ制作委託
- 広告宣伝や求人サイト掲載費
「市販されているパッケージ製品やクラウドサービスを導入し、継続的に使うこと」が基本条件です。
助成対象経費の詳細

助成対象経費は大きく分けて:
- デジタルツール本体の購入費
- 導入に伴う初期設定、カスタマイズ、保守・運用サポート費用(上限50万円)
ただし、消費税・通信費・広告宣伝費・中古品購入・リース料などは対象外です。
また、サブスクリプション契約は「助成対象期間内に使用し、支払いを完了した分」のみが助成対象となります。
申請方法:電子申請のみ
申請は 「jGrants」及び専用フォームを使った電子申請のみ です。
申請には gBizIDプライム が必要です。取得には通常2週間ほどかかるため、早めの準備が必須です。
申請に必要な書類には以下があります(一部抜粋):
- 交付申請書(電子入力)
- 履歴事項全部証明書(法人)/開業届(個人事業主)
- 直近期分の確定申告書や決算書類
- 納税証明書(法人事業税・住民税など)
- 見積書・仕様書
- 小規模企業者であることを証明する書類(該当する場合)
提出後の加筆修正は不可なので、余裕をもって準備しましょう。
審査方法:3つの視点
審査は申請書類をもとに以下の観点で行われます:
- 申請者が要件を満たしているか
- 取組が事業目的に合致しているか
- 経費・期間が助成対象に適合しているか
不備があると受理されませんので、提出書類の確認は慎重に行う必要があります。
まとめ:デジタル化を進めたい中小企業に最適な制度
「令和7年度第2回 中小企業デジタルツール導入促進支援事業」は、
- 最大100万円までの助成金
- 小規模企業は助成率3分の2
- 専門家によるフォローアップ支援あり
と、中小企業のデジタル化を強力に後押しする制度です。
「人手不足を解消したい」「業務効率を上げたい」「営業活動を強化したい」と考えている経営者の方は、この機会にぜひ活用を検討してください。
申請を検討される場合は必ず募集要項をご確認の上、ご不明な点は事務局等にご確認下さい。
募集要項:https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/rmepal000002z8qy-att/R7-2_digitaltool_youkou.pdf


