エネルギー価格の高騰、電力使用量の削減圧力、カーボンニュートラルへの対応……。いま、中小製造業が直面する「電力コスト」や「省エネ対策」の課題は、経営に直結する重要テーマです。
そこで、東京都では製造業の工場に特化して電力使用量の抑制を図るため、「令和7年度 LED照明等節電促進助成金」を用意しました。LED照明や省電力設備の導入に対して最大1,500万円の助成が受けられる本制度は、電気代削減とCO₂削減の両立を可能にする、今まさに注目の支援策です。
この記事では、本助成金の概要・助成対象・申請手続き・審査のポイントなどをわかりやすくまとめ、製造業の経営者や支援者が「確実に活用する」ための実践的な情報をお届けします。
令和7年度 LED照明等節電促進助成金https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/led.html
助成金の目的|電力高騰時代を乗り越える「節電経営」の推進
本助成金の目的は、東京都内で事業を行う中小製造業者が、節電・省エネに取り組みながら生産活動を維持し、事業の継続性とエネルギー効率を高めることです。
単なる環境対策にとどまらず、LED照明や進相コンデンサ、デマンド監視装置などの省電力設備を導入することで、電力使用量を抑えつつ、経営の安定性を強化するための支援を行います。
助成内容の概要|誰が、何に、いくらもらえるのか?
対象者
助成対象は、主に以下のいずれかに該当する東京都内の事業者です:
- 製造業を営む中小企業者(資本金・従業員数の要件あり)
- 製造業に該当する中小企業団体
- 個人事業主(製造業)
ただし、以下の要件も満たす必要があります:
- 東京都内に本店または支店があり、1年以上事業を継続
- 主たる事業が「E分類:製造業」である
- 自社の工場において、生産・加工を実施していること
- 工場が東京都内、または東京都内に本店を有する場合は茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県及び山梨県の工場に限り設置が可能
※農業、漁業、金融業、保険業、風俗関連業等は対象外です。
助成率と助成限度額
- 助成率:1/2以内(助成対象経費に対して)
- 助成上限額:1,500万円
- 助成下限額:30万円
- 助成対象期間:申請回ごとに定められた4か月間
助成対象事業の詳細|どのような設備・工事が助成の対象になるか?
対象となるのは、「工場での節電効果が見込まれる設備の導入・更新」です。具体的には、以下の設備が対象になります:
LED照明器具
- 節電効果が認められるLED器具(PSEマークまたは防爆記号あり)
- ベースライト、ダウンライト、高天井型、スポットライトなど
- 結線工事にかかる費用も対象
※交換対象は既設の器具ごと。電球だけの交換や非常灯・誘導灯は対象外です。
デマンド監視装置
- 電力使用量を監視し、設定値に達すると警報を出す装置
- 関連する制御装置、監視ソフトウェア等も対象
進相コンデンサ
- 電力の力率改善に用いられる機器
- 必要な付帯設備も含む
インバータ
- 動力設備の出力制御に用いる電力制御装置
対象となる場所と設置条件|「工場」であることが前提
LED照明の設置場所として助成対象になるのは、以下の条件を満たす「工場(建物)」です:
- 1年以上稼働し、直近12か月の電気料金の支払い実績がある
- 生産・加工エリアが建物全体の50%以上
- 設置対象は「生産現場」のみ
以下のエリアは原則対象外となります:
- 事務所、休憩室、倉庫、寮、社宅など非生産エリア
- 門灯・外灯など建物に付属しない照明
※製造工程の検査・包装エリアは対象に含まれます。
助成対象経費|申請に含めてよい費用・含めてはいけない費用
助成対象となる経費
- 設備購入費
- 対象設備本体の購入費用(税抜)
- 新品のみ。中古やリースは対象外。
- 設置工事費
- 結線工事、設置に関わる材料費・労務費・試運転費など
- 必要最小限の設置費用が対象
- 東京都の「公共工事設計労務単価」を超えないこと
助成対象外経費の例
- 社員の人件費、交通費、設計費、保守費、通信費
- 旧照明器具の処分費や移設費
- 汎用品(PC、エアコン等)や予備用の購入
- 契約保証金、振込手数料、税金
- 関連会社・親族企業との取引費用
- 計画外の過剰な設備導入や中古品
スケジュール|いつ申請すればいいのか?
この助成金は、年3回に分けて募集されています。
回次 | 申請期間 | 助成対象期間 | 交付決定 |
---|---|---|---|
第1回 | 2025年5月14日〜5月20日 | 2025年8月1日〜11月30日 | 2025年7月下旬 |
第2回 | 2025年9月10日〜9月17日 | 2025年12月1日〜2026年3月31日 | 2025年11月下旬 |
第3回 | 2026年1月7日〜1月14日 | 2026年4月1日〜7月31日 | 2026年3月下旬 |
※助成対象期間内に、「契約・設置・検収・支払」までを完了させる必要があります。
節電診断が必須|申請前に無料の節電診断を受けよう

本助成金では、申請の前提として「節電診断」または所定の省エネ診断の受診と報告書の受領」が必須となっています。
節電診断は以下のいずれかを通じて受けられます:
- 公社(東京都中小企業振興公社)による「節電診断」
- クール・ネット東京の「省エネ診断」または「コンサルティング」
申請から診断実施まで約2~3週間、診断後の報告書発行までにさらに約1か月かかるため、診断申込は早めに行うのが鉄則です。
申請方法|Jグランツによる電子申請が必須
申請手続きは、国の電子申請システム「Jグランツ」を通じて行います。
申請手順
- GビズIDプライムアカウントを取得
- 公社ホームページで「申請エントリー」
- 必要書類を準備(申請書・見積書・節電診断報告など)
- Jグランツで電子申請
※郵送・持参・メールでの申請は不可。提出書類のファイル名や形式に指定があります。
審査方法|投資効果と価格の妥当性がカギ
審査は、提出された書類を基に、以下の観点から外部委員により行われます。
- 経営内容・財務状況
- 導入計画の現実性と資金調達の妥当性
- 設備価格や工事費の市場妥当性
- 導入による節電効果(回収年数も加味)
※必要に応じて現地調査が行われる場合があります。
まとめ|LED導入でコストとCO₂を同時に削減しよう
東京都の「LED照明等節電促進助成金」は、電力コストが高騰する中で、製造業が設備更新を通じて安定した生産を続けるための強力な支援策です。
特に、
- LED化によるランニングコストの削減
- デマンド監視によるピークカット
- 進相コンデンサによる力率改善
などの対策は、企業の持続可能性(サステナビリティ)にも貢献します。
本助成金を活用することで、短期間での設備投資負担を軽減しつつ、長期的な電力コスト削減とBCP対策を実現できます。専門家の支援を得ながら、早期の申請準備を進めることをおすすめします。
申請を検討される場合は必ず募集要項にて詳細の内容をご確認下さい。
募集要項https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/rmepal0000023n12-att/r7bosyuuyoukou_led.pdf