東京都の補助金で最大8,000万円!令和7年度「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」とは?

政策

東京都が公募する「令和7年度 TOKYO戦略的イノベーション促進事業」は、都内の中小企業が新たな技術・製品を開発し、社会課題を解決するイノベーションに挑戦するための大型補助金制度です。助成額は最大8,000万円、助成率は2/3以内、さらに最大3年間の長期支援が受けられるという非常に手厚い内容となっています。

本記事では、補助金制度の目的や対象経費、申請要件、スケジュール、審査方法まで、専門用語をできる限り避けながら分かりやすく解説します。補助金の活用による成長戦略に関心のある方は、ぜひ最後までお読みください。

TOKYO戦略的イノベーション促進事業https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/tokyo-innovation.html

補助金制度の背景と目的

本事業の最大の目的は、都内中小企業の技術力を活かしつつ、外部の知見を取り入れた革新的な製品や技術の開発を支援し、それを社会に実装(=事業化)することで、東京都の産業競争力を高めることにあります。

東京都が策定した「イノベーションマップ」という政策指針に沿い、医療、子育て、防災、エネルギー、スポーツ、観光など、都政が重点的に取り組む9つのテーマを対象としています。単なる研究開発にとどまらず、社会課題の解決と都内経済の活性化を同時に実現することが、この補助金の狙いです。

加えて、東京都中小企業振興公社が「連携コーディネータ」を採択企業に派遣し、技術面だけでなく、経営、販路、制度面でも継続的にサポートする体制が整っているのも特徴です。

助成制度の概要:最大8,000万円のハンズオン支援

この補助金制度は、研究開発およびその成果の事業化にかかる費用を助成するだけでなく、事業推進を後押しするための伴走支援が充実しています。

助成対象となる期間は、令和8年3月1日から令和11年2月28日までの最大3年間です。長期にわたって腰を据えて研究開発に取り組める設計となっています。

助成金の額は、下限が1,500万円、上限が8,000万円で、対象経費の2/3までが支援されます。つまり、最大で約1億2,000万円の事業計画のうち、8,000万円まで補助金でカバーできる計算です。これは単年度の補助金では到底実現できない規模の支援と言えるでしょう。

また、助成金は事業完了後に支払われる後払い方式です。つまり、自社で資金繰りを計画的に管理しながら進める必要があります。

加えて、毎月1回程度の訪問支援や中間・完了検査への準備サポートなど、連携コーディネータによるハンズオン支援が制度の骨格をなしており、事業化に向けて具体的なアドバイスが提供される形になります。

申請のための要件と対象者

申請できるのは、都内に拠点を持つ中小企業等(法人・個人・団体)または都内で創業を予定している事業者です。さらに、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 「イノベーションマップ」に合致するテーマに沿った技術・製品の研究開発であること
  • 他企業、大学、公設試験研究機関等との連携が必須であること(自社単独での開発は不可)
  • 早期の事業化を見込んでいること(販売による収益化)
  • 開発情報を公社に開示できること
  • 統括管理者を配置し、連絡・進捗管理を担当できる体制があること

また、暴力団排除条項、都税の未納がないこと、他の補助金との重複がないことなど、公的資金にふさわしい事業者であることが求められます。

創業予定者も対象になる点は、起業準備中の方にとっては大きなチャンスです。技術シーズを持ちながらも資金面で苦慮しているスタートアップにとって、まさに登竜門といえる制度です。

助成対象となる費用とその使い道

この補助金で支援される費用(助成対象経費)は、研究開発と事業化に直結するものであることが前提です。

対象となる費用には以下のような項目が含まれます:

  • 原材料費・部材費(試作品に必要な材料)
  • 試作装置・開発ツールの購入費
  • 委託・外注費(試験・加工・検証など)
  • 産業財産権出願費(特許、意匠、商標)
  • 規格取得費用(ISO、CEなど)
  • 開発従事者の人件費(年間上限1,000万円)
  • 展示会出展費用・PR費用(上限1,000万円)

一方、対象外となる経費も明確に定められています。例えば、事務所の家賃や備品、パソコン購入、既存設備の修繕費など、間接的な費用や一般的な販管費は助成対象外です。

また、助成事業の成果物を助成期間中に販売することも原則として禁止されています(テストマーケティングは可)。

申請の流れとスケジュール

申請は、東京都中小企業振興公社のWebサイトから事前エントリーを行い、その後、国の電子申請システム「Jグランツ」を利用して書類を提出する形になります。

スケジュールは以下の通りです。

  • 申請エントリー期間令和7年7月9日~8月12日
  • 申請書類の提出期間:令和7年8月14日~9月3日(17:00厳守)
  • 一次審査(書類):9月上旬から12月上旬
  • 現地調査:12月上旬~12月下旬
  • 二次審査(面接):令和8年1月上旬
  • 助成対象者の決定通知:令和8年3月上旬
  • 助成期間開始:令和8年3月1日より順次開始

電子申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要なため、未取得の方は早めの取得手続きをおすすめします。

また、プレゼン日程は事前に指定されるため、日程変更ができない点も注意が必要です。

審査方法と評価の観点

審査は、書類審査・現地調査・面接プレゼンの三段階構成です。特にプレゼン審査は採択可否を大きく左右するため、綿密な準備が求められます。

評価されるポイントは以下のような観点です:

  • イノベーションマップとの整合性
  • 技術の新規性・独自性・社会的意義
  • 他機関との連携の実効性と役割分担の明確さ
  • 事業化計画の現実性(市場性、販路、体制)
  • 東京都における波及効果(雇用、地域経済、課題解決)

単に新しい技術であるというだけでなく、「なぜ今、それが東京で必要なのか」という視点を意識した申請書づくりが重要です。


まとめ:この補助金は本気の事業者にこそ活かしてほしい

「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」は、単なる資金支援にとどまらず、事業者の成長と社会課題の解決を同時に実現する、東京都の本気の補助制度です。

手厚い支援が受けられる一方で、申請・審査・実施・報告に至るまで、高い実行力と事業戦略が問われます。

自社単独ではなく、他企業・大学・研究機関などとの連携が前提条件となるため、技術力と調整力の両立も必要です。

もし自社の強みが、イノベーションマップに記載された分野に活かせそうであれば、これは挑戦する価値のある補助金です。今すぐにでも事業計画の骨子を固め、連携先との調整を始めることをおすすめします。

申請を検討される場合は必ず募集要項をご確認の上、ご不明な点は事務局や専門家へご確認下さい。

募集要項https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/rmepal000002621v-att/R7_boshuyoukou_tokyo-innovation.pdf

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