東京都では、デジタル化の波に乗り遅れがちな中小企業を対象に、スタートアップ企業が持つ先進的な知見を活用し、社員や経営者のデジタルスキルを底上げする「令和7年度スタートアップを活用したリスキリングによる中小企業デジタル化支援」事業を開始します。
この支援は、参加企業にとって無料(上限100万円/社)で受けられる大変魅力的な制度であり、しかも東京都内の中小企業なら業種を問わず応募可能です。
本記事では、事業の目的から申込方法、受講の流れ、禁止事項や留意点までを、専門知識がない方にも分かりやすく丁寧に解説します。
これからデジタル化を進めたい経営者、社員教育に悩む管理職、そして中小企業を支援する士業やコンサルタントの方にとっても必見の内容です。
事業目的|なぜ東京都はこの支援を始めたのか
東京都内の多くの中小企業では、デジタル化の必要性は理解しているものの、実際に推進できる人材が社内に不足しています。
特に中小企業の場合、DX推進の専任部署がなく、既存の社員が日常業務の合間に新しいシステムやデジタルツールを学ばなければならないケースが多くあります。
この事業では、リスキリング(再教育・再訓練)に知見のあるスタートアップをパートナーとして活用し、デジタル化が進んでいない中小企業とマッチングすることで、社員のスキル向上を支援します。
結果として、単なる知識習得にとどまらず、自社の業務効率化・売上向上・新規事業創出といった成果につなげることを狙っています。
事業スキーム|どのように進むのか
事業は東京都中小企業振興公社が主催し、事務局としてトランスコスモス株式会社が運営します。
参加企業は、事前面談を通じて自社に最適な講座を選定し、スタートアップが提供する学習コンテンツをオンラインまたは対面で受講します。
スタートアップ企業は、単に講座を提供するだけでなく、企業の状況に合わせたアドバイスや進捗管理も行い、受講完了まで伴走支援します。
スケジュール(予定)
- 令和7年6月16日(月)〜 中小企業募集開始(先着順/定員200社程度)
- 6月下旬〜 受講事前面談(必要に応じて「デジタル活用診断」も実施)
- 7月上旬〜令和8年2月 リスキリング支援プログラム受講期間
- 受講終了後〜令和8年2月頃 アンケートおよび一部企業へのヒアリング取材
募集対象企業
参加できるのは、次のすべての条件を満たす東京都内の中小企業です。
- 中小企業基本法の定義に該当し、大企業が経営に実質的に参加していないこと
- 東京都内に本店または支店が登記されていること(履歴事項全部証明書で確認)
- 事業の目的を理解し、学習意欲を持ってプログラムを最後まで完走できること
業種は製造業、建設業、運輸業、卸売業、小売業、サービス業など幅広く対象です。
受講費用と対象者
- 費用:無料(1社あたり税込100万円まで)
- 対象者:常勤の役員または従業員(労働基準法第20条の規定に基づく従業員)
申込方法
申込みは事業公式サイトの仮申込フォームから行います。
その後、事務局による事前面談、本申込を経て受講が確定します。
注意点として、申込みは1企業につき1回限りで、代表者または担当部署責任者の承諾が必要です。
事業の流れ

- 仮申込(公式フォーム)
- 事前面談(必要に応じてデジタル活用診断)
- 本申込(講座選定後に確定)
- 受講開始(20〜50時間程度の講座を想定)
- 受講状況のフォローアップ(進捗が遅い場合は面談)
- 受講完了後アンケート(一部企業は取材あり)
禁止事項
参加企業や受講者は、事業の目的外利用やID・パスワードの第三者譲渡、他の受講者への営業行為、SNSでの講座内容公開などは禁止されています。
違反があれば、受講停止や損害賠償請求の対象になることもあります。
留意事項
- 暴力団関係者や風俗・ギャンブル関連事業者などは対象外
- 受講進捗が著しく低い企業は翌年度の参加を断られる可能性あり
- PCやネット環境、交通費は自己負担
- 生成AI利用時は機密情報を入力しない
- 事業は全て日本語で実施(通訳は自己手配)
スタートアップ企業の役割
この事業の最大の特徴は、スタートアップが直接リスキリング支援を行う点です。
AI、データ分析、クラウドサービス、デジタルマーケティングなどの先端領域に強いスタートアップが、最新トレンドを取り入れた実践的な講座を提供します。
また、受講者の進捗管理やフォローも行うため、「学びっぱなし」で終わらず、自社の業務改善に直結しやすいのが魅力です。
スタートアップ及び提供する講座は以下をご確認下さい。

まとめ
この「令和7年度スタートアップを活用したリスキリングによる中小企業デジタル化支援」は、東京都内の中小企業にとって、無料で高度なデジタル人材育成を実現できる貴重なチャンスです。
先着順のため、興味のある企業は早めの申込みがおすすめです。
デジタル化に出遅れていると感じている企業こそ、この機会を活用して変革の第一歩を踏み出しましょう。
申請を検討される場合は必ず募集要項をご確認の上、ご不明な点は事務局等にご確認下さい。