事業承継は、多くの中小企業にとって避けて通れない大きな課題です。
経営を引き継いだ「アトツギ」たちが直面するのは、単に事業を維持することではなく、次の時代に合わせて新たな挑戦をどう仕掛けていくかという問いです。
こうした背景のもと、東京都が新たに立ち上げたのが、新規事業・事業承継を契機とした「第二創業」支援事業『ツギノツギ』です。
その第1期として実施されるのが「事業開発プログラム」であり、事業承継を済ませた企業が新しい一歩を踏み出すための強力な支援体制が用意されています。
この記事では、プログラムの内容や特徴、応募条件やメリットについて詳しくご紹介します。
「ツギノツギ」事業開発プログラムとは?
「ツギノツギ」とは、事業承継後の経営者(アトツギ)が新規事業を立ち上げる、いわゆる「第二創業」をサポートする事業です。
従来の事業承継支援は「円滑な承継」に主眼が置かれていましたが、このプログラムは一歩進んで、承継後の成長と挑戦に焦点を当てています。
つまり「事業を守る」だけでなく、「次の時代に向けて新しい価値を創る」ことを狙いとしているのです。
プログラムの3つの柱 ― 実践的な支援内容
プログラムの最大の特徴は、単なる座学やセミナーにとどまらず、実際の事業開発に直結する伴走支援が提供される点です。
外部パートナーの確保支援
アトツギが新規事業に挑む際、すべてを自分一人で抱えるのは困難です。
そのため本プログラムでは、「事業開発担当者」という外部パートナーを確保する仕組みを設けています。
事業開発担当者には、副業会社員やフリーランス、新規事業経験者などが想定されており、アトツギとペアを組んで事業を推進していきます。
自ら適任者を探すことも可能ですが、見つからない場合は事務局がマッチングをサポートしてくれる点も安心です。
専門家による伴走支援
次に重要なのが、専門家のメンタリングです。
スタートアップ支援で活用される「スタートアップスタジオ」の手法を応用し、事業アイデアの創出から仮説検証、事業化までを伴走支援します。
各チームにはメンターが配置され、隔週のミーティングで進捗確認や課題解決を行い、成功確率を高めるサポートが提供されます。
最大500万円の実証費用支援
さらに実践的なのが、実証費用の支援です。
新規事業にはどうしても初期投資が必要ですが、このプログラムでは上限500万円(税込)が提供されます。
具体的には、
- 実証費:300万円
- 人件費(事業開発担当者):200万円
という配分が基本となります。これにより、資金面でのリスクを軽減しつつ、新規事業を前に進められるのです。
募集スケジュールと選考の流れ

プログラムの応募期間は 2025年8月25日(月)~10月27日(月) までとなっています。
- 一次審査(10月下旬~11月下旬)
書類をもとに、新規事業の新規性・スケール性、既存事業との関係性などが評価されます。 - 二次審査(12月1日~5日のいずれか1日)
オンライン面談形式で実施。事業計画の具体性や実行力が確認されます。 - 結果通知(12月中旬)
採択企業は5社程度に絞られ、公式サイトで公表されます。
採択後は2026年1月から10月頃まで、メンタリングや費用支援を受けながら事業開発に取り組むことになります。
応募資格と条件
このプログラムは「誰でも応募できる」わけではありません。主な応募条件は以下のとおりです。
- 東京都内に本社または事業所がある、または進出を希望している法人
- 事業承継から5年以内の中小企業
- 成果報告会など必須プログラムに参加できること
- 過去に不正等の事故を起こしていないこと
- 暴力団関係者や風俗関連業など社会通念上不適切とされる業種でないこと
つまり「事業承継を済ませ、これから第二創業に挑戦したい中小企業」が対象です。
審査基準 ― 採択される企業のポイント
審査では以下の観点が重視されます。
- 事業開発力:新規事業の新規性、競合優位性、スケール可能性
- 既存事業理解:自社の強みやリソースを踏まえた上での事業構想
- 協働性:事業開発担当者との役割分担や社内外への影響を踏まえた取り組み
- コミットメント:多忙な中でどれだけ本気で挑戦する意思があるか
単なるアイデア勝負ではなく、既存事業との関連性や経営者の覚悟も評価対象となる点が特徴です。
「ツギノツギ」がもたらす価値
このプログラムの価値は、資金援助だけでなく、人材・ネットワーク・専門性という新規事業に不可欠な要素を総合的に提供する点にあります。
- 外部パートナーによる実行力の補強
- 専門家メンターによる戦略的アドバイス
- 実証費用による挑戦のリスク軽減
これらを一体的に受けられる機会は、従来の事業承継支援策にはなかった仕組みです。
中小企業経営者へのメッセージ
中小企業のアトツギ経営者にとって、「第二創業」は単なるオプションではなく、生き残りと成長のための必須戦略といえます。
人口減少や市場変化のスピードが加速する中で、既存事業だけに頼るのは危険です。
「ツギノツギ」事業開発プログラムは、そんな経営者にとって挑戦の背中を押してくれる仕組みです。
承継を機に守りから攻めへと転じるチャンスを、このプログラムでぜひつかんでください。
📌 応募はこちらから
👉 ツギノツギ公式応募ページ