人手不足が深刻化する中で、最新のIT・IoT・ロボット技術を導入して生産性向上を目指す中小企業を支援するのが「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」です。本記事では、2025年6月に公募が開始された第3回公募の概要を、わかりやすく解説します。尚、第1回公募採択者及び第2回公募申請中の事業者は第3回公募へ申請できませんのでご注意ください。
補助金の目的
本補助金の目的は、中小企業の売上拡大と生産性向上の支援です。特に、人手不足が課題となっている事業者に対し、IoT・AI・ロボット等のデジタル技術を活用した「オーダーメイド設備」の導入を後押しすることで、省力化投資を促進し、付加価値の向上と賃上げの実現を目指します。
補助対象者
対象となるのは、日本国内で事業を営む中小企業者、小規模事業者、特定非営利活動法人、社会福祉法人などです。以下の表をご覧ください。
分類 | 資本金要件 | 常勤従業員数要件 |
---|---|---|
製造業・建設業など | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業・小売業など | 5,000万円以下 | 100人以下(小売業は50人以下) |
小規模事業者 | ― | 5人以下(商業等)または20人以下(製造業等) |
※詳細は公募要領をご確認ください。
補助対象経費
補助の対象となる経費は以下のとおりです。
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
※補助対象経費には一定の条件があり、汎用機器の単体導入などは対象外です。
補助金額・補助率
補助金額と補助率は、従業員数や賃上げの取り組みによって異なります。以下の表にまとめます。
補助上限額
従業員数 | 通常上限額 | 特例上限額(賃上げ等) |
---|---|---|
5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率
区分 | ~1,500万円 | 1,500万円超の部分 |
---|---|---|
中小企業 | 1/2(特例:2/3) | 1/3 |
小規模・再生事業者 | 2/3 | 1/3 |
申請手続き
申請は電子申請のみで受け付けられます。必要な「GビズIDプライムアカウント」の取得には時間がかかるため、早めの準備をおすすめします。
- 申請期間:2025年8月上旬から下旬(予定)
- 補助事業期間:交付決定から18か月以内(採択発表から20か月以内)
【提出書類の例】
- 事業計画書
- 見積書・カタログ・図面等
- 決算書
- 事業実施場所の証明書類 など
審査方法と採択のポイント

本補助金の審査は、外部有識者による書面審査が行われます。採択に向けた重要ポイントを以下にまとめます。なお、口頭審査は、一定の基準で事業者を選定し、必要に応じてオンラインにて実施いたします。口頭審査の対象となる事業者にのみ連絡があり、実施されます。
審査項目の例
- 投資内容の妥当性(汎用機器単体はNG)
- 省力化指数や投資回収期間の明確化
- 生産性向上(労働生産性+4.0%)と賃上げ計画の整合性
- 地域課題や人手不足の明確な定義
- 保守・メンテナンスの体制整備
採択されるための事業計画書作成のポイント
採択率を高めるためには、事業計画書が命です。以下のポイントを押さえて作成しましょう。
- 現状課題の明確化
- 人手不足の定量的根拠や業務の非効率性など - 導入設備の革新性
- 単なる既製品の導入でなく、業務に合わせた構成やカスタマイズがあるか - 省力化指数と投資回収計画の明示
- 「削減される時間」と「増加する付加価値」を数値で示す - 人件費や付加価値向上への波及
- 賃上げ計画と生産性向上の関係性を丁寧に記述 - 関係者との連携体制
- SIerや金融機関、専門家との役割分担を明記 - 過去の補助金との重複回避
- 他制度との違いや重複のない内容にすることが重要です
採択例
中小企業省力化投資補助事業(一般型)第1回の採択結果は公開されています。
採択結果概要https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/grant_adoption_summary_ippan_01.pdf
採択結果一覧https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/grant_adoption_ippan_01.pdf
また、当ブログでも第1回採択結果について解説をしていますのでご参考にして下さい。https://sme-support-navi.jp/2025tyuushyoukigyousyouryokukahojyokinksaitakukekka1/
まとめ:今こそ、省力化投資のチャンスです!
「第3回 中小企業省力化投資補助事業(一般型)」は、単なる機器購入の補助金ではなく、戦略的な業務改善・成長投資を支援する制度です。
採択を目指すには、単なる設備導入だけでなく、自社の課題を深く掘り下げ、綿密な事業計画を立てることがカギです。申請をご検討の方は、早めに準備を始め、必要なID取得や書類の整備を進めましょう。
申請の検討される際には必ず募集要項をご確認の上、ご不明な点は事務局や専門家へご確認下さい。
中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/application_guidelines_ippan_03.pdf