事業承継・M&A補助金 専門家活用枠(買い手支援類型・売り手支援類型)【14次公募】を徹底解説

補助金・助成金

中小企業における事業承継やM&Aは、後継者不足や経営資源の有効活用といった観点から、年々その重要性が高まっています。しかし実際には、M&Aの検討や実行には専門的な知識が不可欠であり、ファイナンシャルアドバイザー(FA)や士業など専門家の活用が前提となるケースがほとんどです。一方で、専門家費用は中小企業にとって大きな負担となりやすいのも事実です。

こうした課題に対応するために設けられているのが、「事業承継・M&A補助金 専門家活用枠(14次公募)」です。本記事では、中小企業診断士として経営者支援を行う立場から、本補助金の内容を分かりやすく整理して解説します。

事業の目的

事業承継・M&A補助金(14次公募)は、「中小企業生産性革命推進事業」の一環として実施される補助金です。本補助金は、中小企業者および個人事業主が、事業承継、事業再編、事業統合を契機として取り組む事業について、その経費の一部を補助することにより、事業承継やM&Aを促進し、生産性向上を通じて日本経済の活性化を図ることを目的としています。

本記事で扱う「専門家活用枠」は、M&Aに伴う経営資源の引継ぎに要する専門家費用等を支援する枠組みであり、「買い手支援類型」と「売り手支援類型」の2つの類型が設けられています。

事業内容

補助対象者

補助対象者は、日本国内に拠点または居住地を有し、日本国内で事業を営む中小企業者または個人事業主です。法人の場合は、申請時点で設立登記が完了し、3期分の決算・申告が完了していることが求められます。

また、地域経済への貢献が求められており、雇用の維持・創出、地域資源の活用、域外販売など、地域経済に好影響をもたらす取り組みを行っている、または行う予定であることが要件となっています。

反社会的勢力との関係がないこと、法令遵守上の問題を抱えていないこと、過去の補助金における報告義務を適切に果たしていることなども、基本的な前提条件として定められています。

補助対象事業

補助対象事業は、事業再編・事業統合に伴うM&Aであり、株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割など、実質的な経営資源の引継ぎが行われるものが対象です。単なる不動産売買や、親族内承継、グループ内再編など、実質的な事業再編と認められないものは対象外とされています。

買い手支援類型と売り手支援類型の違い

買い手支援類型(Ⅰ型)

買い手支援類型は、事業再編・事業統合に伴い、株式や事業などの経営資源を「譲り受ける」中小企業を支援する類型です。M&A後にシナジーを活かした生産性向上や、地域経済を牽引する事業展開が見込まれることが求められます。

また、客観的な検討に基づくM&A実行や、M&A後のトラブル防止、PMI(統合後マネジメント)を見据えた観点から、デュー・ディリジェンス(DD)の実施が必須とされています。

売り手支援類型(Ⅱ型)

売り手支援類型は、事業再編・事業統合に伴い、株式や経営資源を「譲り渡す」中小企業を支援する類型です。地域経済や雇用を支えてきた事業が、第三者により継続されることが見込まれることが要件となっています。

補助金額・補助率

補助金額は、補助対象経費の一定割合以内で交付されます。

買い手支援類型では、補助率は原則として補助対象経費の3分の2以内、補助上限額は600万円です。デュー・ディリジェンスを実施する場合は200万円、廃業費を併用する場合は300万円が上乗せされる仕組みとなっています。

売り手支援類型では、補助率は原則2分の1以内ですが、営業利益率の低下や赤字決算など一定の要件を満たす場合には、3分の2以内に引き上げられます。補助上限額等は買い手支援類型と同様です。

補助事業のスケジュール

補助事業期間は、2026年6月(上旬予定)から12か月以内とされています。申請後、審査・採択を経て交付決定がなされ、その後に専門家との契約やM&Aに関する業務を開始する流れとなります。

交付決定前に契約・発注した経費は原則として補助対象外となるため、スケジュール管理には特に注意が必要です。

補助対象の基本要件の詳細

補助対象事業として認められるためには、実質的な経営資源の引継ぎが行われることが重要です。設備、従業員、顧客などが有機的に引き継がれていない場合や、取引価格の合理性が確認できない場合は、補助対象外となる可能性があります。

特に不動産業の場合は、常時使用する従業員1名以上の引継ぎが原則として求められており、形式的な取引にならないよう慎重な設計が必要です。

補助対象経費の詳細

補助対象経費には、FAやM&A仲介業者への委託費、士業等への謝金・旅費、外注費、システム利用料、表明保証保険料などが含まれます。これらのうち、FA・M&A仲介費用については、「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者による支援であることが条件です。

また、売り手支援類型および買い手支援類型の双方で、一定の条件を満たす場合には廃業費も補助対象となります。ただし、廃業費は経営資源の引継ぎが実現しなかった場合には対象外となる点に注意が必要です。

申請方法等

申請は、補助金電子申請システム「jGrants」を利用した電子申請のみとなります。申請にあたっては、GビズIDプライムアカウントの取得が必須であり、未取得の場合は早めの準備が必要です。

申請書類の作成は申請者本人が行う必要があり、内容を十分に理解した上で正確に入力することが求められます。

審査方法

提出された申請書類に基づき、事務局による審査・選考が行われます。審査では、補助対象事業としての適格性、事業内容の妥当性、地域経済への波及効果などが総合的に判断されます。

審査のポイント

審査においては、M&Aの目的や必要性が明確であること、事業再編・事業統合後の姿が具体的に描けていることが重要です。買い手支援類型では、M&A後の成長戦略やPMIを見据えた取り組みが評価されます。売り手支援類型では、地域経済や雇用の維持にどのように貢献するかがポイントとなります。

まとめ

事業承継・M&A補助金 専門家活用枠(14次公募)は、中小企業がM&Aを進める上で大きなハードルとなる専門家費用を支援する、非常に実務的な補助金です。買い手・売り手それぞれの立場に応じた制度設計がなされており、正しく活用すれば、円滑な事業承継や企業成長につながります。

一方で、要件や対象経費、スケジュール管理には細かなルールが定められているため、早い段階から専門家と連携し、計画的に準備を進めることが重要です。

申請を検討される場合は、必ず募集要項をご確認の上、ご不明な点は事務局等にご確認下さい。

募集要項:https://shoukei-mahojokin.go.jp/assets/documents/r7h/14-experts/requirements_experts_14.pdf

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