東京都が実施する「令和７年度男女間賃金格差改善促進奨励金」が公募を開始しています。この奨励金は、男女間の賃金格差を是正し、女性の活躍推進を後押しする企業を最大100万円支援する制度です。
この記事では、この奨励金のポイントを分かりやすく解説し、申請から採択、実施に至るまでの流れ、成功事例、注意点までを網羅的に紹介します。
1. なぜ今「男女間賃金格差の是正」が重要なのか？
東京都がこの奨励金を実施する背景には、女性の職業生活における活躍の推進と、賃金格差是正による職場の多様性強化があります。
日本では依然として女性管理職比率が低く、非正規雇用の女性に対する処遇改善も道半ば。特に中小企業では、制度整備や実践のリソースが足りず、対応が遅れがちです。
この奨励金は、企業が前向きに取り組めるよう、具体的な支援を提供するものです。
2. 奨励金の概要：誰が対象？何が支給される？
支給額
最大100万円（以下の3取組をすべて実施）
- 【取組1】：女性の登用・処遇改善（30万円×最大3件＋加算要件10万円）
- 【取組2】：行動計画の策定・賃金差異の公表
- 【取組3】：社内研修の実施
対象となる事業者
- 東京都内に本社または主たる事業所があること
- 常時雇用する労働者数300人以下
- 雇用保険被保険者が都内に1人以上
- 女性労働者比率が4割未満の雇用管理区分があること
その他にも、就業規則の届出済、過去に不正受給がないこと、労働法令遵守など多数の条件があります。
3. 支給までの流れとスケジュール：計画的な準備がカギ
本奨励金は、6回の募集枠が設けられています。各回ごとに定員が決まっており、早期申請が重要です。
主な流れ：
- オンラインセミナーの受講（先着順）
- 支給申請（Web提出）
- 専門家派遣（対面＋Web、計2回）
- 対象取組の実施（6か月）
- 実績報告（Web提出）
- 奨励金請求・支給
各工程において、書類不備や期限遅延があると不採択のリスクが高まるため注意が必要です。
4. セミナーと専門家派遣：知識と伴走支援で取り組みを後押し
セミナー内容
オンライン（オンデマンド形式）で開催され、
- 女性活躍推進法の基礎
- 中小企業の事例
- 女性活躍推進度診断ツールの解説
などが含まれます。申請には受講＋アンケート回答が必須条件です。
専門家派遣
2回実施（1回目は現地訪問推奨）。内容は以下の通りです：
- 取組内容の精査と助言
- 行動計画と賃金差異公表の確認
- 社内研修状況のチェック
- 実績報告準備
専門家は計画作成や申請代行をしませんが、実践的な助言が受けられる貴重な機会です。
5. 支給に必要な3つの取組内容とは？
【取組1】：女性の登用・処遇改善
下記から1つ以上を選択（複数選択も可）
- A：女性管理職の増加
- B：役職手当の女性対象者の増加
- C：非正規従業員でも登用可能な役職の新設
- D：非正規従業員向け退職金制度導入（加算要件）
【取組2】：行動計画の策定・公表
- 【取組1】に対応した行動計画の作成（労働局提出）
- 厚生労働省DB上で賃金差異を公表
【取組3】：全従業員向け社内研修
- 行動計画に基づく内容
- 全員が実施期間中に受講完了必須
この3つの取組を、「実施期間（6か月以内）」内にすべて完了させる必要があります。
6. 実際の支給事例：中小企業のリアルな成功例
本募集要項には、過去の支給事例も掲載されています。以下は代表的な成功パターンです：
ケースA（従業員50名・製造業）：
- 女性管理職の比率が10％未満
- 非正規従業員向けに「サブリーダー職」を新設
- 退職金制度を導入し加算要件も満たす
→最大額の100万円を受給
ケースB（従業員120名・サービス業）：
- 女性に対する役職手当支給を制度化
- 自社の制度を見直すきっかけとなり、離職率が20％改善
このように、単なる助成金目的ではなく、制度改革を促進する実践的ツールとして活用されています。
7. 申請前に知っておくべき注意点
以下の点に特に注意してください。
- 他の類似奨励金との併給不可（同一取組内容の場合）
- 申請回ごとの期限を厳守すること（スケジュール外の申請は失格）
- 受講や報告の代理提出不可（企業自身での対応が必要）
- 提出書類に不備や漏れがあれば即失格になる可能性あり
また、取組内容の変更は原則不可です。実施できる内容をしっかり精査してから申請することが重要です。
8. まとめ｜制度を活かすことが企業成長への第一歩
「男女間賃金格差改善促進奨励金」は、単なる資金援助にとどまらず、企業の働き方改革・女性活躍推進の第一歩となる制度です。
最大100万円という支援だけでなく、
- 専門家による伴走支援
- 東京都との連携強化
- 採用力・ブランド力の向上
といった副次的効果も見込まれます。
中小企業こそ、今このチャンスを活かして、持続可能で多様性のある組織づくりに踏み出してみませんか？
また、申請を検討される際には必ず募集要項をご確認の上、ご不明な点は事務局へご確認下さい。https://joseikatsuyaku-sokushin.tokyo/download/file/application.pdf?250515
お問い合わせ先：
公益財団法人東京しごと財団
企業支援部 雇用環境整備課 女性雇用環境整備促進係
📞 03-6633-3656（平日9:00～17:00）
🔗 https://joseikatsuyaku-sokushin.tokyo/
