令和7年度 宇宙製品等開発経費助成|東京都が宇宙ビジネスを加速する最新支援策

補助金・助成金

東京都が実施する「宇宙製品等開発経費助成」は、宇宙関連ビジネスに挑戦する中小企業やスタートアップにとって、開発費用を大きく軽減できる強力な制度です。特に、東京都内で開発や実証を行う事業者に対し、機器開発助成とソリューション開発助成という2つのタイプを用意しており、それぞれに異なる対象や助成率、助成上限額が設定されています。

この記事では、事業目的から助成の詳細、申請方法、審査ポイントまで丁寧に解説します。


事業目的|宇宙ビジネスの成長加速と地域経済の発展

この助成事業の目的は、東京都内の中小企業やベンチャー企業が、宇宙関連分野で新たな製品やサービスを開発し、実証・事業化する取り組みを後押しすることです。近年、宇宙産業は通信、観測、輸送など多岐にわたり、地上の産業や社会課題解決にも直結しています。東京都は、この分野での技術力向上と市場拡大を支援することで、企業の成長と地域経済の活性化を狙っています。


事業内容|助成対象者・助成額・助成率・期間

本助成は「機器開発助成」と「ソリューション開発助成」の2つのメニューがあります。それぞれの特徴を以下に整理します。

 機器開発助成

ロケット、人工衛星、探査機、地上施設及びこれらに関連した機器類の開発・改良に必要な経費を支援します。

  • 助成対象者:都内に主たる事業所を有し、開発を行う中小企業・個人事業者・団体
  • 助成上限額:1億円
  • 助成率:助成対象経費の2/3以内
  • 助成期間:交付決定日から最長3年間

 ソリューション開発助成

「人工衛星による通信・観測・測位」等のデータ利活用サービスの開発・改良を支援します。

  • 助成対象者:都内に主たる事業所を有し、開発や実証を行う中小企業・個人事業者・団体
  • 助成上限額:2,000万円
  • 助成率:助成対象経費の2/3以内
  • 助成期間:交付決定日から最長1年9ヵ月

両助成とも、開発した製品・サービスの事業化可能性や市場性、社会的意義が審査で重視されます。


助成事業のスケジュール

「交付決定」までの主な手続きとスケジュールを、申請者が取るべきアクションと合わせて時系列で整理します。

期日・期間ステップ申請者側の主な作業(推奨)要点/公社側の処理
申請前準備(電子申請前)公社Webで申請前エントリー、要項熟読、申請様式ダウンロード・申請概要・技術資料の精査、補足資料(企画書・図面)作成。
・GビズIDプライムの取得(Jグランツ使用に必須)
公社Webに様式・マニュアルあり。GビズIDは発行に時間がかかるので早めに。
申請受付
令和7年9月19日(金)〜 10月10日(金)17:00(厳守)
Jグランツへ電子申請・必要書類のアップロード・申請書(指定様式:Excel)に記入し、必要書類(確定申告書類、見積書等)をPDF化してアップロード。
・見積書や補足図面は要件(2社見積など)に注意して準備
申請はJグランツのみ。ファイル容量や形式(PDF推奨)等に注意。締切は厳守。
一次審査(書類審査)
~ 令和7年11月下旬
資格審査・技術審査(書面)・一次審査で不足があると差戻しの可能性。追加資料依頼に速やかに対応できる体制を確保要項記載の資格・技術審査を実施。必要に応じ現地調査を行う場合あり。一次結果はJグランツで通知。
審査結果(一次→二次案内)
12月上旬(通知)
一次合格者へ二次審査(面接)案内(Jグランツ通知)・面接準備(プレゼン資料、質疑対応準備)。必要書類の再確認。一次合格者に日時等を通知。日時変更不可の旨あり。
二次審査(面接審査)
令和7年12月中旬
対面でのプレゼン・質疑・発表者は申請事業者本人のみ(外部の代理人・顧問等は入室不可)。面接は公社指定場所で実施。
総合審査会(決定)
令和8年1月中旬
二次審査の結果を踏まえ総合的に採択を決定申請者の出席は不要(公社で審査会実施)審査会で最終決定。公社は必要に応じて条件付交付等を行うことがある。
交付決定通知(採択通知)
令和8年1月末(Jグランツで通知)
交付決定(交付予定額の提示、注意事項の通知)交付決定時点の交付予定額は確定額ではない点に留意。採択後の事務手続き(口座確認等)に対応交付予定額は「支払い上限」であり、完了検査の結果により最終額が確定される(減額の可能性あり)

助成対象事業の詳細

 機器開発助成

  • 宇宙機(人工衛星、探査機など)やロケット搭載機器の開発
  • 宇宙空間の環境試験に耐えられる材料や部品の開発
  • 打ち上げや運用に必要な試験用治具やシステムの開発

 ソリューション開発助成

  • 衛星データを活用した農業支援サービス
  • 災害時の被害把握や避難支援アプリ
  • 衛星通信を活用した遠隔医療システム
  • 位置情報や観測データを活用した物流効率化サービス

いずれも、東京都内で開発・実証を行うことが条件となります。


助成対象経費の詳細

対象経費は両助成で共通部分がありますが、用途によって上限額や経費範囲が異なります。詳細は募集要項をご確認下さい。

共通経費の例

  • 人件費(開発に直接従事する技術者や研究員の給与)
  • 機械装置・工具費(開発用試作機や試験装置の購入・製作)
  • 原材料費(試作品製作に必要な材料)
  • 委託費(外部企業や研究機関への試験・測定依頼)
  • 産業財産権出願・導入費
  • 展示会等出展費

経費の注意点

  • 消費税や地方消費税は助成対象外
  • 関連会社や代表者の親族が経営する企業への支払いは対象外
  • 契約・実施・支払いすべてが助成期間内で完了していることが必須

申請方法等

申請はオンライン申請システムで受け付けます。必要書類は以下のようなものがあります。

  • 事業計画書(様式あり)
  • 開発内容や工程を示す資料(図面、仕様書など)
  • 見積書(複数業者からの取得が望ましい)
  • 会社登記事項証明書
  • 直近2期分の決算書または確定申告書
  • 納税証明書

申請時には、事業目的や成果の波及効果を明確に記載することが重要です。専門用語は必要最低限にとどめ、審査員が理解しやすい文章構成が求められます。


審査方法

審査は以下の流れで行われます。

  1. 書類審査:申請要件や記載内容の整合性、事業の実現可能性、市場性、波及効果などを評価
  2. 面接審査:書類審査通過者が実施。面接では開発の独自性や差別化ポイント、収益化の見込みなどを説明し、質疑応答に対応

評価は総合点で行われ、採択件数には限りがあります。


その他|採択後の留意点

助成事業に採択された場合、以下の点に注意が必要です。

  • 助成金は後払い(精算払い)方式のため、事業費は一旦自己資金で立て替える必要があります。
  • 進捗報告や経費証憑の整理は随時行い、監査に備える必要があります。
  • 事業終了後も、開発成果や事業化状況について報告を求められる場合があります。

総括|宇宙ビジネス進出の大きなチャンス

「令和7年度 宇宙製品等開発経費助成」は、東京都が宇宙産業分野への挑戦を後押しするために用意した強力な支援メニューです。機器開発助成とソリューション開発助成をうまく使い分ければ、開発初期から実証、事業化までを一貫して支援してもらえる可能性があります。

開発にかかる費用の最大2/3を東京都が助成してくれるこの制度は、特に資金面でのハードルを下げ、企業が持つ独自技術やサービスを実用化に近づける絶好のチャンスです。

申請期間は限られており、準備には時間がかかります。事業計画の精度を高め、必要書類を早めに整えることが、採択への近道となります。東京都で宇宙関連事業を始めたい方は、この機会を逃さないようにしましょう。

申請を検討される場合は必ず募集要項をご確認の上、ご不明な点は事務局等にご確認下さい。

募集要項https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/uchu-josei/t2misi000000h8qh-att/r7_uchu_guidelinev3.pdf

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