令和7年度「女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」徹底解説

補助金・助成金

東京都が実施する「令和7年度 女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」は、女性特有の健康課題を解決するための技術やサービス開発を後押しする助成金制度です。
この記事では、制度の目的から対象者、助成内容、スケジュール、申請方法、審査基準、過去の採択事例までを分かりやすく解説します。中小企業診断士としての視点から、申請にあたっての実務的なポイントや注意点も交えてご紹介します。


事業の目的

本事業は、都内中小企業者等が「女性の健康課題解決」をテーマにした新製品やサービスを開発・改良・普及するために必要な経費の一部を助成するものです。
背景には、月経・妊娠・不妊・産後ケア・更年期・婦人科系疾患など、女性特有の健康課題に関する市場ニーズの高まりがあります。近年、「フェムテック(FemTech)」という言葉が注目を集めていますが、これは Female(女性)とTechnology(技術)の造語で、先進的な技術を用いて女性の健康やライフステージに関わる問題を解決する製品・サービスを指します。
東京都は、この分野の技術開発と普及促進を通じて、女性活躍社会の実現を加速化し、都内中小企業の振興にもつなげることを狙っています。


助成内容

今回の助成金は、開発から普及までを幅広く対象としています。主な概要は次のとおりです。

  • 助成対象期間:令和8年2月1日~令和9年10月31日(最長1年9か月)
  • 助成限度額:最大2,000万円
  • 助成率:助成対象経費の3分の2以内
  • 助成対象経費:開発費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、直接人件費、広報費など(詳細は後述)

助成対象事業の範囲と要件

助成対象となる事業は、「女性の健康課題解決」に関するテーマで、かつ以下の全要件を満たす必要があります。

  1. 新たな開発要素や比較優位性があること
  2. 市場ニーズに即していること
  3. 開発能力を有していること
  4. 事業計画・資金計画が整合性と安全性を備えていること

対象テーマの例としては、

  • 月経関連(PMS緩和製品、生理カップ、生理貧困対策サービス等)
  • 妊娠・不妊(排卵日測定デバイス、不妊治療用機器等)
  • 産後ケア(授乳サポート製品、骨盤ケア等)
  • 更年期(ホットフラッシュ軽減衣料、尿漏れ改善機器等)
  • 婦人科系疾患(乳がん術後用パッド、患者QOL向上衣料等)
  • ヘルスリテラシー向上サービス(女性健康情報ポータル等)

助成対象経費の詳細

助成対象経費は非常に幅広く、開発の各段階をカバーしています。

  1. 開発費:原材料費、機械装置・工具器具費(リース・レンタル可)、委託・外注費(製造、試験、分析など)
  2. 産業財産権出願・導入費:特許等の出願や権利取得に係る費用
  3. 専門家指導費:外部専門家からの技術指導料
  4. 直接人件費:役員・正社員の研究開発従事時間に基づく人件費(上限1,000万円)
  5. 広報費:展示会参加費(上限500万円)、広告・PR映像・プレスリリース配信費用など(販売目的は対象外)

※汎用性の高い機器や量産設備、販売促進を目的とする経費は対象外となります。


助成事業のスケジュール

申請から助成金交付までの流れは次の通りです。

  1. 申請受付期間:令和7年9月5日(金)~9月30日(火)17:00(Jグランツにて受付)
  2. 一次審査(書類):令和7年10月
  3. 二次審査(面接):令和7年12月10日・11日(秋葉原周辺)
  4. 総合審査:令和8年1月初旬
  5. 交付決定通知:令和8年1月下旬
  6. 助成事業開始:令和8年2月1日~
  7. 中間報告:令和8年12月15日まで
  8. 助成事業終了:令和9年10月31日まで
  9. 実績報告・完了検査:終了後15日以内に報告、その後助成金額確定・交付

申請方法

申請は電子申請(Jグランツ)限定です。
利用にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行に時間がかかるため早めの準備が重要です。

必要書類は、申請書、補足説明資料、見積書(高額経費の場合)、登記簿謄本や開業届、直近の決算書や確定申告書、納税証明書など。法人・個人・創業予定者で必要書類が異なります。


審査方法と評価ポイント

審査は以下の流れで実施されます。

  1. 一次審査:書類審査(資格要件、新規性、市場性、実現性、妥当性)
  2. 二次審査:経理審査および面接審査(プレゼン・質疑応答)
  3. 総合審査:全体評価に基づき採択事業を決定

評価ポイントは、女性の健康課題解決への適格性、新規性・優秀性、市場性、実現性、事業計画の妥当性などです。


過去の採択企業の特徴(令和6年度例)

過去の採択事例からは、課題解決の明確さと技術的裏付けの強さが共通点として見られます。

  • 不妊原因を早期発見する医療機器(インフューズライフサイエンス株式会社)
  • 腹圧性尿失禁を治療する家庭用医療機器(エクスフィット株式会社)
  • アプリ連携型フェムヘルスポータルサイト(株式会社クロア)
  • 無痛MRI乳がん検診の改良(株式会社ドゥイブス・サーチ)
  • 看護師向けメンタルヘルスケアアプリ(株式会社Plusbase)

いずれも、ニーズが明確で市場性があり、かつ技術やサービスの新規性・優秀性が高い点が評価されたと考えられます。


まとめ

「令和7年度 女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」は、女性特有の健康課題を解決する技術やサービスの開発・改良・普及を強力に後押しする制度です。最大2,000万円の助成金は、中小企業にとって大きな開発リスク軽減策となり得ます。

成功のカギは、

  • 課題設定の明確さ(誰のどんな課題を解決するか)
  • 新規性と差別化要素(既存製品やサービスとの違い)
  • 市場性と実現可能性(ニーズの裏付けと計画の実行力)

申請までの準備期間は限られていますが、事業計画を練り込み、過去採択事例のように課題解決型の提案を行えば採択可能性は高まります。

申請を検討される方は必ず募集要項をご確認の上、不明な点は事務局等にご確認下さい。

募集要項https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/femtech/ucg1fj0000002ff9-att/r7_femtech_bosyuuyoukou.pdf

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